読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

中空構造日本の深層 河合隼雄

河合隼雄(1928-2007)さんは、ユング派の心理学者です。有名な方ですので、名前は聞いたことがある人も多いか、と思いますが、著作に触れたことはない、という方もけっこういらっしゃると思います。 ぼくが最初に読んだ河合隼雄の著作が、今回取り上げる『中…

泥棒日記 ジャン・ジュネ

いわゆる「耽美」とか、「性的倒錯」みたいな言葉に拒否感があって、その手の書物やアートに触れない人って、けっこういるんじゃないかな、と思うんですけれど、もったいないと思います。ぼくはジャン・ジュネ(1910-1986)の小説を読んで、それらのひとりよが…

掏摸 中村文則

日本の現代文学において、村上春樹さん以降、質人気共に最も充実した作家といえば、きっと中村文則さんでしょう。素晴らしい作品がたくさんありますけれど、最初に読むなら、『掏摸』をお勧めします。 2010年に大江健三郎賞を受賞した、――実際の発刊は2009年…

なぜ皆本を本屋で買わないの?

タイトルにとかく深い理由はないです笑 最近、本が売れない、と出版の人たちが限りなくいってくるので、今日は本の話でも書きたい、と思います。 まず、本が売れない、といいますけど。データを見れば、書籍の売り上げ数は、それほどピーク時よりは減っては…

ブログについて。

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。タイトルが抽象的というか、即物的ですが。 ブログは管理者のものと思っているので、コメント欄に長々とした一読者の自分が文章を書くのは、管理者のみならず他の読者の方にも迷惑な傾向だと、…

よいお年を。

2013年も、残すところ今日一日となりました。本年度、この相変わらずの過疎っぷりの激しい適当ブログを閲覧してくださった、すべての方にお礼を申し上げます。 おれ、今年はなにをしてたのかな、と考えると、前半は短篇小説の総仕上げに取り組んでいた、と思…

運命ではなく ケルテース・イムレ

今回紹介するのは、2002年にノーベル文学賞を授与された、ハンガリーの作家、ケルテース・イムレ(1929~2016)の小説『運命ではなく』です。日本の出版は2003年、惜しくも2016年にイムレは亡くなりましたが、これは彼の処女作で、執筆に13年の歳月がかかり、…

青い眼がほしい トニ・モリスン

トニ・モリスンの『青い眼がほしい』です。母国アメリカでは1970年に発表され、日本では1981年に翻訳されていますが、「あとがき」の著者自身によると、この作が今のような形できちんと上梓するに至るには二十五年の歳月が必要だった、ということです。内容…

荒野を行く

ツイッター復活しようかな、と思ってるけど、まあ、どうせまたやめるので、しません。とにかく今窮地に立たされているので、年明けに精神科に予約を入れました笑 とかいいながらも、安定剤を常飲していない日は、ここずっとないんだけどね。 編集者から連絡…

作家は岐路に立っている。

hirayama-mizuho.cocolog-nifty.com レビューではなく、珍しく日本の現代作家に対するぼくのちょっとした感想。 「白いシミ通信」なるブログを書いていらっしゃるのは、プロ作家の平山瑞穂さんです。デビューはゼロ年代の半ば頃、『ラス・マンチャス通信』と…

そろそろ年末、そろそろ潮時

news.yahoo.co.jp この記事、ほとんどおれだ、と思った。 おれの場合就職がなかったね。どれだけ受けにいったかわからないけども。東京に来ていちばんびっくりしたのは、バイトにさえ落ちる、ということだった。たとえば確かに求人倍率は現在増えていて、野…

ここ最近読んだ本

本当はレビューを書きたいんだけれど、やってる余裕がないので、列挙。基本的に偏差値が低レベルの平民なので難しい本は読みません。まあ、だいたいこんな感じの読書がぼくの日常。ここ1カ月くらいで読んだ本。 黄色い本 (KCデラックス アフタヌーン) 作者: …

商品化ってなんぞや。

記事書いたのに、ぜんぶ消えてしまったよ…。 編集者から連絡きて、原稿のアドヴァイスを受けた。 いわれた要点(欠点)は、二つ。1 長い。2 悪人が出てこない。 ほかは、ぜんぶまとまっているからよい、とのこと。 でも、残念だったのは、やっぱり自分が小説の…

とりあえず山は昇った

やっとこれまでずっと推敲していた短篇30作がぜんぶしあがった。あと、一作初めて私小説を書いてみたんだけれど、西村賢太さんみたいに上手くは書けないね。当たり前だけれど。これは全部で四編にして連作にするつもり。もう一回書き直さないとダメっぽい。…

東浩紀の柄谷行人論は読みたい

東浩紀の「柄谷行人論 ―批評という病」は、是非読んでみたいな。ぼくは現代思想や社会学やらは、ほとんど範疇外なので、というかはっきりいって頭の悪いぼくにはわからないので、読まないんだけれど、柄谷行人の著作だけはずっと読んできた。最初の彼の群像…

フリースタイルの創作日記

編集者に「売れる小説の書き方を教えてやろう」といわれて、なんだろう、と思って聞いたら、「結局いちばん普遍的に売れて、日本人が読んでいるのは新潮文庫の100冊だ、とにかくそれを読め」ということで、毎年顔揃いは変わるんだけれど、とりあえず2016年版…

デトロイト美術館展に行ってきました

上野の森美術館で開催されている「デトロイト美術館展」に行ってきました。会期は、2016年10月7日(金)~2017年1月21日(土)です。 会場は、「印象派」「ポスト印象派」「20世紀のドイツ絵画」「20世紀のフランス絵画」の四つに分かれています。 最初にいっ…

なんだこの可愛さは

もう出版社周りやめる。どこ行っても無理。 てわけで、最後かな、と思って、ある社に添付して、今日原稿を送りました。 電話したら、打ち合わせ中だとかで、先方はおらず。おらんのか、こら、といらいらして、待ったが、かかってこない。携帯の電源切って、…

なんだかんだ講談社がいちばん安定しているらしい。

怒りが収まらないので、怒涛の更新。 誰か特定の個人を攻撃しているわけじゃない。プロの作家じゃないと、普通にこんなこともいえるし、特権ともいえるね。 「最近は本が売れません」って。例えば、それを作家の眼の前でいう編集者って、逆の立場で考えたら…

持ち込みについての追記

初の一日二回投稿。先日の「持ち込み」についての件で、いい忘れたことがあったので、追記です。 ただ、単に作家志望だとか、読んで欲しい、みたいな人は困りますけど、「おれのは売れる」と思っている人は、持ち込みしてほしいです。出版社が潤うならば、こ…

なんかもう絶望しかない

またツイッターやろうかな、と思ったけど、面倒なので、クソ記事。一応創作日記カテゴリー。 ぼくは一度商業出版した身があるんだけれど、自らやめた。理由は単純に、ひとりで書いていたときのほうが楽しかったな、と思った瞬間があったから。これは「学生」…

出版社訪問日記 第七話

というわけで、またまた懲りずに行って参りましたが、やっぱりこのシリーズ、もうやめたいな。というか、終わらざるを得ない気がする。今回は名前出しちゃいます。今回ぼくが足を運んだのは、朝日新聞出版社です。そうです。ぼくが小説家として世界一尊敬す…

出版社訪問日記 第六話

数十社には「持ち込み」の連絡をして、ダメでした、ダメでした、とその経緯がどういったものだったのか、その都度「戦いの記録」を書いていこうと思ったんですけど、とにかくね、連絡がこない涙 書こうにも、書く材料がない、この企画。 「郵送してください…

ピエール・アレシンスキー展に行ってきました

渋谷Bunkamuraミュージアムで開催されている「おとろえぬ情熱、走る筆。ピエール・アレシンスキー展」に行ってきました。 国内では、1986年に原美術館がアレシンスキーがメンバーであった「コブラ展」を、個人展は1977年に行われて以来のことで、まさか、ア…

書を捨て、街に出よう

初っ端から、なんですが、写真もないクソ記事なんで、ブックマークもはてなスターもなにもいりません。流し読みしてください。 ブログもずいぶん放置していたし、ツイッターやめたんで、ちょっと書きたいな、と思って書いている感じ。 今週末はちょっと出か…

アルバート、故郷に帰る ホーマー・ヒッカム

『ロケットボーイズ』(1992)の著者、ホーマー・ヒッカム・ジュニアの新作です。正確なタイトルは『アルバート、故郷に帰る ―両親と1匹のワニがぼくに教えてくれた、大切なこと』。版元はハーパーズ・コリンズ社です。外国文学好きのひとりとしては、また新…

出版社訪問日記 第五話

また、懲りずに行ってきましたよ笑 本当は今回の企画記事については「小説の持ち込み」等のタイトルにすれば検索ワードからしてアクセス数も増え、もっと作家志望者の方の参考記事になるかな、という目論見があったんですが、今回の出版社に足を運んでみて、…

出版社訪問日記 第四話

今回の話はいささか変則的。突然献本を頂戴したんですね。編集者の方から。ぼくのブログをたまたま目にしてくださったみたいで、メールをいただいたんです。献本は応募して抽選であたるのが普通ですけど。まあ、だから珍しいです。映画の試写会に呼ばれたよ…

出版社訪問記 第三話

先日の二話目からのつづき。原稿を持ちこみした北陸の編集長からお手紙をいただきました。書こう、書こうと思っていたら、更新がずいぶん経ってしまって。返事はわりとすぐに着た。マンションにペンネーム宛で送られてきたので、住居人確認の通知が郵便受け…

鈴木其一 江戸琳派の旗手 展へ行ってきました

六本木・東京ミッドタウン ガレリア3階のサントリー美術館で開催されている「鈴木其一 江戸琳派の旗手」展へ行ってきました。開催は、2016.9.10(土)~10.30(日)。休刊日は火曜。開館時間は、10時~18時です。金・土および9.18(日)、9.21(水)、10.9(日…

血を流せ、虫けらども

人生って、一寸先は闇だな、と最近つくづく思う。ぼくはTVを観ないのでよく知らないけれど。ベッキーとか、まだTV出てないんでしょ? 謹慎期間を置いて、謝罪をすれば、それでいいと思うんだけど。結局はスポンサーがらみで、需要と供給の問題で、使ってくれ…

徳田秋声記念館に行きました

石川県金沢は日本近代文学のその歴史において、偉大な三大文豪を生んだ街として知られています。ひとりは泉鏡花(1873-1939)、ひとりは室生犀星(1889-1962)、そしてもうひとりが徳田秋声(1872-1943)です。本当は「声」は旧仮名遣いで、秋聲、と書きます…

週末だらだら日記

Twitterはもうアカウントを削除したので、日常のぐだぐだはこっちに書いていきます。出版社訪問記なる話題も、「創作日記」のカテゴリーとしてひとまとめとしていきます。つーか、ブックマークの使い方がいまひとつわからない涙 とりあえず今ぼくは洗濯中。…

出版社訪問記 第二話

先日、出版社訪問記第一話、と題する、小説の原稿の持ち込みの記事を書いたんだけれど、正確にいえば、こっちが第一話。しかし、ぼくのブログは驚くほど読まれないね笑。読んでくださっている方には深く感謝申し上げたいけど。いったい、これから僕はどうな…

出版社訪問記 第一話

ほとんど誰も読んでいないブログを書き継ぐっていうのは、一種のマゾヒズム行為なんだろうかね笑 プロの作家の方でも、ツイッターのフォロワー数が100いかないとか見たりして衝撃受けるし、かと思えば、なんでこんなつまらん記事が、というものが、ものすご…

金沢に帰省してました。

もともとセルフパブリッシングのためのプロモとしてはじめた当ブログなので、出版をやめ、Twitterもやめた今となっては、ぼくは今やこのブログ自体書く意味合いを失っている。ここ一、二年で、美術や文学等の記事をたくさん書きましたけれど、プロモどころか…

青春の光と影

べつにSMAP解散の記事を読んで、いやらしいPV数を増やすための便乗商法じゃないのだけれど。今回のSMAPの騒動を見ていて、なんとなくぼくが思い出した話です。 ぼくは高校時代、とても仲のよいグループがいた。グループといっても、SMAPのように確固たる五人…

KDP全作品の配信を停止しました。

先日、タイトル通り、Amazonのキンドルダイレクトパブリッシング並びに、楽天koboで出版していた、長谷川善哉名義の三作品すべての配信を停止しました。此の機会にそれ専用のアカウントのTwitterも削除して、完全に自由人になりました笑 KDPは初めて一年半く…

熱帯魚 吉田修一

現代日本の小説家で女性の天才タイプは多いと思いますけど、男性では珍しいのが吉田修一だと僕は思っています。吉田という人は天才だと思って疑いません。初期の頃から作風は変化していっていますが、――分岐点は『悪人』(2007)だったでしょう――、でも、吉…

傷口にはウオッカ 大道珠貴

僕が大道珠貴でいちばん好きなのが『傷口にはウォッカ』(2005)という作品です。彼女が2003年に芥川賞を受賞したとき、その受賞作の「しょっぱいドライブ」はけっこう一般的には酷評されたみたいですが、以来僕はたちまち大道文学の虜になりました。それから…

図書準備室 田中慎弥

ある種奇抜な芥川賞記者会見?で有名になった田中慎弥のデビュー作を含む短篇集。彼は「共食い」(2011)で第146回芥川賞を受賞しましたが、初めて芥川賞候補になったのが、ここに収められている、彼のデビュー後二作目となる「図書準備室」(2006)です。そ…

ロックンロールミシン 鈴木清剛

1998年に上梓された第十二回三島由紀夫賞受賞作。作家のお名前はずっと知っていて、読んでみたかった方だったんですけれど、彼の作品に触れたのは僕は意外と遅かった。 この作品には、けだるい二十代特有の若者の生態が描かれています。タイトルもいかにもな…

流しのしたの骨 江國香織

江國香織さんの著作の中ではあまり読まれていない本みたいで、意外です。ぼくはこれが彼女の最高傑作だと思っているんです。 この作品を読んだとき、「新しい文学」がこうしてはじまっていくんだな、とそんな新鮮で胸躍る感覚を発見した気がしました。江國香…

ナチュラル・ウーマン 松浦理英子

松浦理英子は寡作な作家で、出版された作品はそれほど多くありません。現代を担う作家なのか、というのも少し微妙かもしれません。存在的にアウトサイダーであり、幅広く読まれている作家だとは到底いいがたいです。 代表的長編作である『親指Pの修業時代』…

ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨 山田詠美

山田詠美26歳時のデビュー作。「ベッドタイムアイズ」(1985)は彼女の文芸誌の「文藝賞受賞作」で、当時選考委員のひとりであった文芸評論家の故江 藤淳がすごく賞賛したという話を聞いた覚えがあり、ぼくも読んでみてその作品の高さと個性の豊かさに驚き…

愛の生活・森のメリュジーヌ 金井美恵子

金井美恵子の文壇への登場は1967年。彼女はそのときまだ19歳でした。大好きな石川淳に読んでもらいたくて、当時彼が選考委員を務めていた「太宰治賞」に応募したことが、彼女が文壇デビューするきっかけとなったのですが、すでにその処女作にして、彼女の文…

秋山陽 アルケーの海へ に行ってきました

菊池寛実記念 智美術館で開催されている「秋山陽 アルケーの海へ」展へ行ってきました。期間は、4/2-7/24です。陶芸作品展です。陶芸、といえば、智美、ということで、今回も行ってきたわけですが、正直いって、こんなにぶっ飛んだ展覧会へ足を運んだことは…

ポンピドゥー・センター傑作展 へ行ってきました

上野の東京都美術館で開催されている「ポンピドゥー・センター傑作展」へ行ってきました。期間は6/11-9/22まで。前後期の展示変えはなさそうです。土曜の午後に行きましたが、かなり空いていました。ヴァシリー・カンディンスキーの「30」(1937・油彩、カン…

ライ麦畑でつかまえて J.D.サリンジャー

戦後のアメリカ文学を代表する偉大な作品のひとつ。文学に詳しくない方でも、タイトルだけは耳にしたことがあるんじゃないでしょうか? 2003年には村上春樹によって『キャッチャー・イン・ザ・ライ』というタイトルで新訳も出ました。未読の方には、個人的に…

幼児狩り・蟹 河野多恵子

ぼくが戦後に活躍した日本の女性作家で最も尊敬する方が河野多恵子(1926-2015)さんなんですが、晩年まで精力的に執筆をされ、傑作を次々と書き継ぎながら、惜しくも2015年に亡くなられました。 個人的には、河野多恵子さん、金井美恵子さん、江國香織さん辺…