読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

シンプルなかたち展に行ってきました。

 

 六本木ヒルズ森美術館で開催されている「シンプルなかたち展 ―美はどこからくるのか」に行ってきました。

 リニューアルオープン記念ということで、いぜんのオープン記念のときみたいに期待に胸を膨らませて向かったのですが、はっきりいって、いくらかの美術愛好家であれば楽しめない展覧会です。展覧会というより、アトラクションに近い催しでした。

f:id:mannequinboy:20150611151424j:plain

 

 ぼくはしばらく森美術館は行ってなかったんですが、どうやら森って、もう完全にそんなふうな見世物小屋みたいになってしまったのかもしれませんね。同時に、「スターウォーズ展」「NARUTO展」もやってましたし。

 

www.mori.art.museum

 

 僕の目当ては、コンスタンティンブランクーシと、ジャン・アルプでした。展示されてあった「空間の鳥」と「新生」はもう、何回も鑑賞したものだったので、新鮮味はなかったんですが、でもよいものはやはり何度見ても素晴らしいものです。

 ブランクーシは20世紀彫刻家の巨匠の一人ですが、ルーマニアの寒村で貧しい家庭で生まれた人です。あの彫刻の父といわれるロダンから「弟子にしてやる」といわれたのですが、「おれはおれの彫刻やりたいから」といって、断ります。さすがです笑 

 ブランクーシは独自の彫刻の道を究めて、「空間の鳥」や「新生」のような、極めてプリミティヴで抽象的な表現方法に到達します。初期の頃の代表作に「接吻」というのがあるんですが、これは都内ですと、ブリジストン美術館で確か常設されているはずです。これも素晴らしいです。

 ぼくはブランクーシが20世紀最高の彫刻家だと思っていまして、次に好きな彫刻家がジャン・アルプなのです。

 ジャン・アルプは、スイスの「チューリッヒダダ」と呼ばれる前衛アート運動から登場してきた人です。最初コラージュ作品のような、とにかく難解きわまりないものを作っていて、だんだん彫刻とか、絵とか、いろいろな方法意識に目覚めて、さらに作品を多様化させていきます。

 

f:id:mannequinboy:20150606160041j:plain

「空間の鳥」 コンスタンティンブランクーシ 1926

 

 今回アルプが展示されていたのは、彫刻作品のみで、何点あったのかな、四点くらいあったのかな、やはり素晴らしかったです。あとルチオ・フォンタナという、カンバスに傷をつけるのが特質的な画風を持つ画家の作品もひとつだけ展示されていたんですけど、今回のこの「シンプルなかたち展」では、これがいちばん素晴らしかったかもしれません。

 フォンタナはこれまで何点もぼくは観ているんですけど、この展示会で飾られていた「空間概念」が、これまで観た中で最も素晴らしかった印象なのでした。と、まあ、こう聞くと、素晴らしい展覧会じゃないか、といわれそうですが、やっぱり会全体はよくなかったといっておきます笑。美術館というより、アトラクションなんです。若冲蕭白を最初にやったあの森は、いったいどこへ行ってしまったんだ、という感じでしたね。

f:id:mannequinboy:20150611151742j:plain

 「円相図」仙厓 江戸時代後期 19世紀 紙本墨画 43.2×56.2cm

 実はもっとも気に入ったのが、仙厓義梵のこの絵です。江戸時代の臨済宗子月派の禅僧で、とても簡略でユーモア溢れる絵をたくさん描いた人です。出光美術館がたくさん所蔵しているので、興味ある方は行ってみるとよいと思います。今回は一枚だけ展示されていました。

 「禅」とはなにを意味するものか。この一枚に集約されている気がします。この円は御饅頭にも見える、と紹介されてあり、さもありなんです。