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モネ展 マルモッタン・モネ美術館所蔵 「印象、日の出」から「睡蓮」まで を観てきました

 

 上野の東京都美術館で、9/19(土)~12/13(日)まで開催されている、マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展 「印象、日の出」から「睡蓮」まで、に足を運んできました。

「印象、日の出」が21年ぶりにやってくる、が謳い文句の展覧会なのですが、これはかなり出展期間が変則的で、10/18までの金、土のみだったので、ぼくは10/20日以降出展される「サン=ラザール駅」目的に絞りました。“印象派”という名前の由来となった画期的な「印象、日の出」と同様、モネの代表的作品です。

 

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www.tobikan.jp

 

 今回はモネの作品を多数所蔵しているマルモッタン・モネ美術館から、90点ものモネ作品が選ばれています。初期の頃の家族の肖像を描いた人物画あり、コレクションをしていた他の作家、ルノワールピサロの作品もあり、モネの生涯に渡る仕事を俯瞰して観るのには、最適な展覧会だった、と思います。

 すでに初期の頃から、モネ特有の大胆な筆遣い、塗り残し、色彩の感覚は顕著です。生活に余裕ができはじめてから、モネは国内外問わず多くを旅してまわりますが、最初に長期に滞在をしたのがイギリスで、イギリスの風景画を代表するロマン主義の画家ウィリアム・ターナーの影響が露骨に現れた作品も展示されてもいて、微笑ましかったです。さらに、若かりし頃、風刺画を描いて、絵の具代や生活費代にしていたらしいのですが、それも今回は展示されています。線ではなく色を使って描いているところが、もうモネです。どれもユニークな作品で、これらの出展も珍しいものだといえます。

 

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 クロード・モネ 「印象、日の出」 1872

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 クロード・モネ 「ヨーロッパ橋、サン=ラザール駅」 1877

 今回ぼくは「印象、日の出」は観られなかったわけですが、「サン=ラザール駅」は観ました。これは思ったより、小さいサイズで、期待していた分、ちょっとあっけなかったです笑 モネは同じこの題材を12点ほど描いているのですが、今回の出典は1点のみで、これはちょっと残念だったかな。

 それで、モネといえば晩年の「睡蓮」ですが、今回の展覧会のもうひとつの目玉として、モネは自宅の庭で育てた睡蓮を題材に、200点以上にもなる作品を描いているわけですが、最も有名なものは、パリのオランジュリー美術館を飾る「大装壁画」です。1914年に手がけはじめて、10年以上の歳月を費やして完成させました。高さ2メートル、幅12メートルの8点から成る大作ですが、この準備作として描かれた「睡蓮」が、今回は展示されてあるんです。個人的にひとつ傑作だと思える「睡蓮」がありましたね。

 最晩年にいくにしたがって、サイズは大きくなり、モネの絵はさらに鮮烈に色彩が強調され、タッチも狂おしいほど荒々しくなり、抽象化していきます。そのことで後の抽象画家たちに、モネは英雄視されるわけですけど、タイトルがついていても、題材の原型はわからない。カンバスがただただ燃えています。

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 クロード・モネ 「バラの小道、ジヴェルニー」 1920-22

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 クロード・モネ 「日本の橋」 1918-19

 ぼくは、上の二点がとても気に入りました。最晩年のモネ作品については、個人的に思うところがあるので、ちょっとここで書きます。

 モネの特質は、初期の頃から一貫しています。目に映った印象をカンバスに映しだすことです。移ろう風景の一瞬の印象を描くことです。後のフォーヴィズムの感性とは異なる意識です。たとえば「バラの小道、ジヴェルニー」では色彩を混濁させることで、光、そのものを捕えようとしています。「日本の橋」は、逆にほとんどわずかな色使いで光の顕在化に挑んでいる実験的作品といえて、それ以降のモダニズムの道を切り開いた印象派の巨匠、近代美術の革命児といわれながら、モネの感性を継承した画家は、サム・フランシスらわずかを除いて、結局のところ存在しなかったんじゃないか、とこの絵なんか観ていて、思いました。

 印象派として、確かにモネはモダニズムの先駆者ではありますが、色使いやタッチは極めて特異であり、フォーヴィズム抽象絵画の祖とはいえない。ただ今回は初期のピエト・モンドリアンに酷似した作品などもあり、彼の野心がその後に与えた影響が色濃いのは、確かに間違いないことです。 

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 クロード・モネ 「小舟」 1887 

 これも今回の展示では、ぼくの好きな作品のひとつで、空の小舟を端に記した大胆な構図は、浮世絵、中でも「江戸百景」の歌川広重の影響に間違いないでしょう。モネは随一を誇る浮世絵のコレクターであり、自宅の庭に「日本の橋橋」まで作っています。

 金曜の夜に行きましたが、激混みでした笑

 土日に行ったら、満杯でしょう。以前モネ展があったのは、ぼくの記憶だと、2007年の国立新美術館だと思うんですが、待ち遠しかったファンも多かったんでしょうか。印象派の画家は、日本でもとても人気があるようです。