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出版社訪問記 第二話

創作日記

 先日、出版社訪問記第一話、と題する、小説の原稿の持ち込みの記事を書いたんだけれど、正確にいえば、こっちが第一話。しかし、ぼくのブログは驚くほど読まれないね笑。読んでくださっている方には深く感謝申し上げたいけど。いったい、これから僕はどうなるんでしょうか。昨日書いた悩みは、今もって思案中。まあ、結論出すのは自分しかない。

 で、僕が最初に向かったのは、北陸のとある文芸編集部。

 金沢は僕の故郷なので、その旨と、これまでの経歴ももちろん伝えて、原稿を持参した次第。郵送否定主義者の僕としては、ええ、行きましたよ。原稿抱えて、北陸新幹線に乗って。相手の方は「帰省のついでに寄るものだとばかり思ったので」っていってましたけどね。僕ははっきり「このために来ました!」といいました。

 お相手してくれたのは、編集長。多忙の身である中、45分くらい僕のために時間を割いてくださいました。ありがたや。基本的には持っていった小説の話をしたんだけれど、小説だけじゃなく、いろんな話をしましたね。いちばん印象に残ったのは、「石川県で小説家を目指している文学青年なんていない」としきりにいわれていて、最近の石川県出身の作家だと、本宮有希子さんが芥川賞を受賞されているので、「本宮さん、いらっしゃるじゃないですか!」っていったら、なんか苦い顔されていて、あまりお好きじゃない感じだった笑

 あと、同人誌もいくつかあるんだけれど、高齢化がひどくて、さらにろくな作家なんていない、と露骨にいっていた笑 まあ、発言は編集者の方って、どなたもストレートだわ……。

 あと、これは、僕だけなのかな。不思議なんだけど。僕は美術が好きなので、たいてい美術の話題を出すと、編集者って食いつきが凄い。眼光が開くというか、前のめりになる、というか。まあ、まず小説だけしか興味がない文芸編集者なんていないし、皆いろんなジャンルの教養を持ってるのが普通だしね。少なくとも僕がお会いしてきた編集者の方は、例外なく皆あらゆることに貪欲です。とりわけ美術はいい材料だな、といつも思う。

 今回は小説の原稿を持っていったのに、美術の話で半分は費やしたかな笑 あと、石川県といえば、泉鏡花徳田秋声室生犀星、が三大文豪で有名なんだけれども、僕が徳田秋声が好きだ、というと、しつこいくらいに秋声の話を、聞かれましたね。というか、「映画だとなにが好きか?」「美術だとなにが好きか?」「現代作家だと誰が好きか?」と、いろいろ質問されたんだけれども、その都度こたえると、まあ、話に花が咲く、という感じで、結局のところ、小説なんてどうでもよくなって、「秋声論を書いたらどう?」としきりにいわれた。

 で、ここからが本題なんだけれども笑

 結局、小説を持っていって、本当に読んでくれるのかどうかわからないけれども、自作の原稿がよい結果を生むのかダメになるのかは、その担当になった編集者の「嗜好」による、ということが、今回のことでやっぱり明らかだな、とわかった、ということ。

 僕は年齢で弾かれたな、と思ったことが、これまでに一度はっきりとあったし、今回などは、カテゴリーエラーだったのを、すごく感じた。

 たとえば、現代作家で誰が好きか? と聞かれて、角田光代さん、と僕はこたえてしまったわけ。相手の編集長ははっきりとげんなりした顔をされてましたね。本宮さん以上に笑 それで、「じゃあ、この原稿は秋声的な感覚はないのか?」といわれて、口ごもってしまった……。いや、現代版秋声なんですよ、とかいえばよかったかな。実際秋声の影響を受けていないわけじゃないし。

 出版というのは、作家がひとりで原稿を書くのと同じで、たったひとりの編集者の好き嫌いで、命運が別れるのが、ひしひしと伝わった。ひとりが、いい、といって、企画が始動することがほとんど。

 まあ、でも「石川県出身で作家目指してる人なんて君くらいだよ」といわれたし、本当にしつこくそれいってたけど笑、とにかく顔を合わせておくことこそがとても大事だな、と思いました。これは出版業に関わらず、どんな仕事もそうだけど。

 今の所梨のつぶて涙。いきなり長編は持ってこられても無理だ、とはっきりいわれたので、それはもういいんだけれどね。それで短編を実はお渡ししてきた。「じゃあ、こっちで」って笑。その辺はぬかりはない。果たしてどうなることやら。