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出版社訪問日記 第五話

創作日記

 また、懲りずに行ってきましたよ笑

 本当は今回の企画記事については「小説の持ち込み」等のタイトルにすれば検索ワードからしてアクセス数も増え、もっと作家志望者の方の参考記事になるかな、という目論見があったんですが、今回の出版社に足を運んでみて、考えを改めました。版元に迷惑がかかりかねない。引き続き「訪問日記」というタイトルで、こっそり体験記を連ねたいと思います。出版社名は匿名とします。ぼくに興味がある方だけが読んで下さればよいです。

 そして、実はこの数日のあいだに、ほかにも3社の出版社に電話したのですが、そのことでわかったことも出てきたので、それは改めて、後日記したいと思います。とりあえず今回は訪問した「A社」についてです。

               ※          ※

 今回訪問したのは、最初の「訪問日記」でお電話した「A出版社」です。

 ぼくはこの会社に最初に連絡をしました。純粋にこの会社で出したいなあという気持ちが強くあったからです。実は、すぐに「読みますよ」といってくださった社はここだけです。ただ、そこから問題が発生したことは、以前も書きました。

 今忙しいから3週間後の〇日の〇時に再度電話してくれ、と電話連絡のときにいわれ、指定された3週間後のその日時にかけたら、担当の方が不在でした。3週間後に会う約束ならわかりますが3週間後にもう一度電話してくれ、ということそのものが、はっきりいって一般的には有りえない話。さらに、指定された日時に電話をしたときの女性編集者の言葉遣いが、まるで不審人物扱いで、「誰ですかぁ? 本当に編集長と約束されてるんですかぁ? 用件だけお伝えしておきますけど」と、ものすごい邪険にされた涙。まあ、しょうがねえのかなあ、という感じ。で、翌日に電話をしたら、その最初に出てくださった編集長が出られたんだけれど、以前とは打って変わって、もんのすげえ面倒臭そうな口調で、「ああ、あなたね、会う件ね、はいはい」と、その週の金曜日にアポイントメントをとってくれたんですが、はっきりいってこの時点で、もう行きたくなくなっていましたね、ぼくは笑。やめようかな、ここって。

 その理由に、こういう邪推もあったんです。最初ご連絡した折、その編集長がぼくを現役の作家だと勘違いしたんではないかな、ということです。でも、これは実際足を運んでみたら、心配は杞憂に終わりました。お相手してくださったのは女性の編集長直々です。来て、よかった笑 落ちても、悔いはないです。

 聞かれたことは、「職業」(サラリーマンなのか?)「住所」(東京在住なのか?)、あとは「原稿の内容」程度でしたかね。さっぱりしたもんです。あと、「どうしてわが社に連絡してきたのか?」も聞かれましたね。就活と似てます。こういうことはなにをいっても歯が浮くので、正直に応えるのが無難でしょう。実際に一番最初に電話したのは、この出版社でしたし。

 名刺交換のあと、「お願いします」とお渡しした原稿を、パラパラめくりながら、またちょこちょこ内容についてのご質問。面接は10分ほどで終了。感触としては、読んでいただけるのは間違いない、ということがわかりましたね。ただ、しつこいくらいに、「今文芸は売れるものと売れないものとの二極化になっている、そこが一番難しい問題、その辺りは考慮して結果は待って欲しい」それは念を押されました。

 編集長ですから、確かに厳しそうな表情でしたが、感じの悪い方ではなかったです。実際にお話しできてよかったですし、いっしょに仕事したいな、と思いましたね。こういうのはとても重要なんです。意外と、結果は早く出そうです。ただ10月の前半はお忙しい、ということもおっしゃっていたので、それでも遅くても、10月中には何かしらの返事が来るんじゃないか、と思っています。

 万が一ですね、少なくともなにかしらの明るい内容のお返事が来たらなら、奇跡でしょうね。マクドナルドやタワーレコードのアルバイトさえ落ちたぼくに笑 起死回生どころか、人生180度大逆転でしょう。でも、期待は全然してませんね。ダメなら、次行くだけ。

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「A社」のあとに、ぼくは3社ほど電話連絡しており、それで持ち込みについて判断できたことがあったので、詳しいことは、また後日書きますけど、少しだけ書いておきます。

 ぼくの小説はいわゆる一般文芸のジャンルですが、持ち込みは不可とされている吹聴があります。けれど、ぼくの場合はまったく意外な展開でしたよ。ケースバイケースです。二手に分かれるんじゃないか、ということです。

 ある出版社では電話連絡した際にすぐに「書籍化した単行本を教えてください」と問われました。このことはとにかく記しておいたほうがいいと思います。

 小説家の矢作俊彦さんは、プロとアマの差を書籍で例えています。現在本当に実売で食っている小説家なんて、日本には数十人もいません。でも、本業の作家はもっといるわけです。要するに、プロの作家、といっても、9割以上は仕事はしていても、要は食べさせてもらっているといってよいです。兼業作家も多い。プロとアマの境目なんて曖昧なんですね。それで矢作俊彦さん曰く、書籍を一度でも出した経験があればプロだ、と小説家が小説家であることを定義づけています。実際これは今回複数社に電話連絡をして、ぼくはとても強く実感したことでした。

 たとえば新人賞で雑誌に掲載された実績があるとしても、書籍を出している、いないならば、ここに大きな隔絶現象が起こります。ここがかなり大きなものです。ただ「小さな実績」でも、読んでくれない版元はまったくないわけではないです。実際「A社」がそうです。持ち込みは不可、は神話だとわかりました。

 あと、これも書いておきたいです。以前にも書きましたが、「じゃあ、送ってくれ」という出版社がほとんどなんですが、いくら相手が多忙の身であっても、時間がかかるといわれても、実際にお会いして原稿をお渡ししたほうがよいと思います。熱が伝わるとか、そういう意味ではないです。実際に、原稿を郵送すれば読む出版社もあるでしょうが、リアルに会う気持ちを酌量してくれない版元は、送っても読まれない可能性は高い、と判断していいと思います。

 仕事をする上で、とにかくご挨拶するのが基本だとぼくは思っており、実際一般的社会では、挨拶ができない人間は仕事ができない、といわれています。しかし、相手の立場を思いやった場合、編集者は多忙の身であり、まだ「持ち込み」の状況下では一緒に仕事をする仲間ではありません。しかし、ここだけは我を押し通したほうがよいです。今回実際に連絡してから一か月近くかかって訪問が実現した「A社」においては、「読みます」「後日連絡します」の言葉を、面と向かってはっきりいただけました。受け取っただけでなく、原稿を捲って見てくれた、というのは、ものすごく大きかったことです。言葉のみでそういわれるのと、リアルでいわれるのとでは印象がまったく違います。

 お百度参りでもしようかな笑