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出版社訪問日記 第六話

創作日記

 数十社には「持ち込み」の連絡をして、ダメでした、ダメでした、とその経緯がどういったものだったのか、その都度「戦いの記録」を書いていこうと思ったんですけど、とにかくね、連絡がこない涙 書こうにも、書く材料がない、この企画。

「郵送してください」といった編集部から連絡が来ないのは百も承知だし、――というか、まず読んでくれないでしょう――、「連絡は遅くなりますが了承してください」とあらかじめいわれた版元には、そんなすぐには連絡来ないな、とこっちも理解しているけれども、さすがに、足を運んだ出版社からなんの音沙汰もなしで一月を過ぎると、「むむ…………」という感覚に陥ってしまうことになる。

 知人に相談すると、「連絡するといっても、連絡が来ないのが普通だよ」というんだけれど、個人的感触として、「今回は見送りで」の電話一本の連絡もない、というのは、どうみても社会的通念として、ありえないんじゃないか、と思うんだけれど、まあ、経験則として書いておくべきこともある。

 ぼくが以前付き合っていた編集者がいたんですが、メールしてもやっぱり連絡が返ってこないわけ。本当に編集者って、連絡をしませんね笑 まあ、干されたな、と普通思うじゃないですか? こっちは常に戦闘態勢というか、当時まだスマホがなかったし、原稿は添付して送っていたから、自然とそのPCの捨てアドに編集者からのメールは来ていたわけで、ぼくは毎朝それを開いてメールチェックしなければならなかった。それが三ヶ月過ぎた頃、糸が切れた。「もう、これで来ないな」と。諦めたんです。

 要は、返事が来ない、というのは、ダメだったんだ、ということですよ。普通そう思うでしょ。

 それで、もう放っておいたわけ。こっちも忙しいし。で、しばらく経った頃、ふっと思ってメールを開いてみると、編集者からメールが来ていたんですね。なんじゃ、こりゃ! 「作品企画の相談をしましょう、いつがよろしいですか?」と書いてある。そのときすでに二カ月は経っていて、慌てて返信したんだけれども、すると、またメールが来ない涙。いや、もういい加減にしろ、と。もともと戦力外のぼくには当たり前といえば当たり前のことなのかもしれないけれど、これは本当に振り回されて、神経を病んだ。

 電話すればいいじゃん、といわれるかもしれないけど、これも結局同じ。前にも書いたように、今忙しいから何日に電話してください、といわれて、すると、いないわけ笑

 石田衣良さんの文庫本のあとがきを読んでいたら、相手側から依頼が来たのに、提出したら、「悪くない」といわれたのにかかわらず掲載は拒否され、ボツか、と思っていたら、半年後に突然連絡が来て、夏用に書いた話が冬号に載った、という話があったけれど笑、「出版社なんてのんびりしたものです」と石田さんはいつものあの感じで書いてらっしゃる。このグダグダに付き合えるか付き合えないかで、作家って変わってくるんだろうなあ。

 あっ、そうだ。思いだしたことがある。これはネットのある電子書籍サイトなんだけれども、そこに短篇の原稿を一篇ぼくは送ったことがあるのね。やっぱりそこも添付したものだから、そのフォルダに返信が来てしまうわけで、いちいちPCを開いて確認しなければならない。やっぱり三ヶ月は毎日見ていたんだけれど、一向に返事が来ない。来たのがなんと、一年半年後! 本当は一年少しくらいで来たんだけれど、やっぱり見過ごしてしまっていたわけ。「連絡がついて安心しました」と先方は書いてきたけれど、ならばなぜ電話をしないのか? 番号も最初にちゃんと教えたはず。うーん、まったくわからない。出版という暗黒世界。傲慢なのか、怠惰なのか、単に多忙なのか。そのときは一年半も経っていたら、またもう一回推敲したくなるのが作家の性ってもので、またちょっと赤を入れて添付して出したんだけれど、もう二年以上になるかな……未だ返信ないですよ笑 どうなってるんだろう。

 というわけで、これまで四社ほど出版社には連絡しました。ことの真相は不明ですけど、どこも「番号と名前」は聞いてくれましたよ。「後ほど連絡します」って笑。一社などは、「持ち込みは不可」とHPに堂々と書かれてあったから、ダメもとで電話したのに、いちばん対応がよかった。「あっ、持ち込みですね、わかりました。メモの準備をご用意してください」みたいなこなれた感じ。或る社は、「持ち込みは受けつけてないんで……」といって断られたんだけれど、「編集長がいらっしゃるときにもう一回かけ直してもいいですか?」といって、番号だけ控えてもらったんだけれども、すると五分後に相手から慌てた様子で折り返しかかってきた。名前をもう一度はっきり教えてくれって。持ち込み、皆普通にやってるんだね。だから、時間がかかるんだろう、って思う。編集部自体が本当にどこも少人数でやってるしね。

 まあ、全部で10社くらいは連絡するつもりだけどね。でも、連絡を待てるのは半年くらいかな。とりあえず短篇を30、長編を5書いた現在、小説はもういい、という気がしている。やるべきことはやった。そもそもぼくは自己表現には興味がなく、インプットする側のほうがぜんぜん好きな人間で、本も書くより、読むほうが好きなのね。美術も映画も音楽もぜんぶ。そんな性格の人間が、どこにも自作が発表できずに、人生終わるのはつらいから、それなら残りの人生は別のものに費やしたい。小説を書くっていうのは、本当に大変で。日々精進の賜物だし。こんなに体を酷使して、文字通り命を削って、それでただ死んでいくのはつらすぎる。なんか先週と違うこと書いてる気がするけど笑

 海外へ行く、っていう計画をたててることもある。まあ、後半年は東京にいますよ。「東京にいるのか?」というのは、編集者はわりと気にしているから。都内在住の書き手さんのほうがなにかと都合がいいのは確かでしょうね。

 ということで、急に寒くなり、秋も深まっていく季節ですが、皆さんも体に気をつけて、がんばってください。これからのぼくの予定は、半年で一篇ライトな感じの恋愛小説を書こう、と思ってます。どこの社から連絡が来ても大丈夫なようにね笑 ハッピー、ハロウィン! 今年は渋谷には行きませーん!

 ※ 追記

 明日もまた出版社に連絡するつもりだけど、この1~2か月の持ち込み経験で、少なくともぼくにわかったこともある。だいたい返事を下さったところは、直接「ダメ」といってきたところはないです。ぼくはかつて商業出版をした経験がある者であり、以前いった矢作俊彦さんの言葉に倣っていうなら、一応プロなんですね。たぶん、その手の原稿はほとんどが「保留」になってしまうんじゃないか、ということです。

 だから、とにかくたくさん連絡して、(しかし、余力がない、文芸をやってない版元はダメだと思います)、一点突破でどこかで出してくれる出版社を探すしか手はなさそうです。それが評価が出ることがあったなら、追従する版元も現れる可能性は高い。

 明日は某版元、ここは大手なんだけど、知っている編集者がいるんですね。ダメもとでかけてみようと思います。もう七年くらい連絡は途切れているんだけれども……。あの直木賞作家を輩出した敏腕編集者ですよ。「一度いっしょにお仕事させてください」とメールしたときは、「喜んで、いつでも原稿を持ってきてください」といってくれていたんだけれど、あの頃アホなぼくは原稿を持っていかなかった…涙 なぜだ??? いろいろ諸事情があったんですよ。あの頃ぼくはアホでした。あとは、もう一社狙っているところがあって、ここも個人的に素敵な出版社だとぼくがとても思っているところで、この社で出したい、ってのがあって。とりあってくれないかなあ。あとは、まあ、数打てかな笑 「持ち込み」の参考になるかな、この記事。まあ、このブログに辿り着く人自体が少ないだろうけど。てな、感じ。

 ※ さらに追記

 今その敏腕編集者にお電話したら、今週の金曜に会うことになった。三年前は編集長だった。「そのときに持ってきたなら書籍化や掲載はすぐできたのに、今は部署を移動してしまったよ」と即座に電話でいわれた…涙 なんたる不覚。ただ、読むのは仕事なので、読むならいいですよ、というご返事。なんか意気消沈した。ただ恐々と電話したんだけれど、「覚えてるよ、なにしてんの? おいでよ」ってめちゃくちゃフレンドリーで、「今担当者いないでしょ?」って、すごく同情的な言葉もいってくれて、心配してくれている様子だった。とりあえず金曜は原稿持ってお会いするだけ行ってきます!

 というわけで、今回で最終回にする予定でしたけれど、予定変更。金曜日、まあ、ざっくばらんにいろいろと編集者さんに聞いてみます。とにかく偉い人だから、どこか紹介してくれる版元があるかもしれない。逆に偉いからこそ、厳しいってことも十分ありえる。土下座覚悟で相談してみるつもり。

 ただ「読みますよ、それが仕事だから」とは、どの編集者も合言葉のようにいうのが、とにかく不思議。「すぐにはどうこうできないなあ」といわれたら、次の出版にあたることを伝えようと思う。内定もらえるまで、連絡して、出かけて、面接して、会社回りするしかない。